最近、ニュースなどで「家賃上昇」という言葉を目にする機会が増えました。
物価や建築費が上がる中、賃貸住宅の家賃にも変化が起きています。
私が毎月受け取っている賃貸管理会社の通信でも、2026年10月号で賃料の安定・上昇傾向が取り上げられていました。
私は会社員と自営業を続けながら、中古区分マンションを運営している兼業大家です。
実際に所有物件の家賃を引き上げた経験もあれば、今後の募集家賃を見直せるのではないかと考えている物件もあります。
しかし、家賃が上がることを、大家にとって単純に良いニュースだとは考えていません。
管理費や修繕費などの負担が増える一方、入居者には毎月の家賃を支払う負担があるからです。
今回は、2026年の賃貸市場に関する調査結果と、兼業大家としての実体験を交えながら、家賃が上昇している背景や今後の賃貸経営について考えてみます。
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2026年、実際に賃貸住宅の家賃は上がっているのか?
家賃が上昇しているという話は、単なる印象ではありません。
エイブル総合研究所が2026年10月20日に公表した「成約家賃インデックス 全国版(2026年9月)」によると、調査対象物件の平均成約家賃は、全国で前年同月比5.2%の上昇となりました。
福岡県では前年同月比12.8%の上昇が報告されています。
ただし、これはエイブルの仲介店舗で成約した、築5〜25年・18〜40㎡の単身者向け賃貸住宅を対象としたデータで、平均成約家賃には管理費・共益費も含まれています。
その月に契約された物件の条件や構成によっても平均値は変わるため、福岡県内のすべての賃貸住宅で家賃が12.8%上昇したという意味ではありません。
それでも、実際の成約データから賃料上昇の動きが確認できる点は注目に値します。
また、長谷工ライブネットが2026年10月に発表した調査では、福岡市の新築賃貸マンションについて、コンパクトタイプやファミリータイプで、既築を含めた全体の賃料水準より5%以上高い駅が増えていることが報告されています。
ただし、これは新築物件の賃料水準を比較した結果であり、中古物件の家賃も同じように上昇していることを直接示すものではありません。
賃貸市場は地域や物件の種類によって状況が異なりますが、少なくとも一部の都市や物件タイプでは、家賃上昇が現実のものとなっています。
なぜ今、家賃が上昇しているのか?
家賃上昇の背景には、いくつかの要因があると考えられます。
建築費の上昇が新築住宅の供給に影響する
新しくマンションやアパートを建てるには、建築資材や人件費などが必要です。
これらの費用が上昇すれば、以前と同じ条件で新しい賃貸住宅を供給することは難しくなります。
野村不動産ソリューションズが2026年10月に公開した福岡市場の分析では、福岡のRC造集合住宅の建築費指数が、2026年6月時点で2020年1月より37%上昇したと報告されています。
新築住宅の供給が制約される一方、住宅を借りたい人の需要が強ければ、家賃が上がりやすい市場環境になります。
もちろん、建築費が上がった分だけ家賃も同じ割合で上がるわけではありません。
最終的な家賃は、需要と供給のバランスによって決まると考えています。
人口や住宅需要の変化も影響する
家賃相場は、地域ごとの住宅需要によっても変わります。
例えば、通勤や通学に便利な場所で賃貸住宅を探す人が増えれば、駅に近い物件などに需要が集中する可能性があります。
一方、人口が減少している地域や、賃貸住宅の供給が多い地域では、必ずしも家賃を上げられるとは限りません。
そのため、全国の家賃が上がっているというニュースだけを見て、自分の所有物件も同じように値上げできると判断するのは危険だと思います。
大家側も管理費や修繕費の上昇に直面している
家賃上昇について考えるとき、私が気になるのは大家側の維持費です。
区分マンションを所有していると、毎月の管理費や修繕積立金、賃貸管理会社への管理委託費などが発生します。
さらに、室内設備が故障すれば修理や交換が必要です。
建築費や修繕関連費用が上がれば、将来的な支出の増加も考えておかなければなりません。
例えば、毎月の家賃収入が変わらない状態で管理費や修繕積立金が月3,000円増えれば、ほかの条件が同じなら年間36,000円の手残りが減少します。
私が不動産投資で重視しているのは、家賃収入そのものよりも、経費を差し引いて実際にいくら残るのかという点です。
大家にとって家賃の見直しは、単に利益を増やすためだけでなく、増加する維持費に対応するという側面もあります。
ただし、大家の費用負担が増えたからといって、その分をすべて入居者に転嫁できるわけではありません。
市場で受け入れられる家賃かどうかは、また別の問題です。
あわせて読みたい実践記事
実際に中古区分マンションを運営すると、どのような維持費が発生するのか。毎月・毎年の支出については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
区分マンション投資の維持費はいくら?5室所有して分かった毎月・毎年かかる費用
私が所有する中古区分マンションでも家賃の変化を感じている
私自身の賃貸経営でも、家賃相場の変化を意識する場面があります。
実際に月39,000円から47,000円へ家賃を見直した物件
2025年に購入した中古区分マンションでは、購入時の月額賃料等が39,000円でした。
その後、入居者の入れ替わりがあり、次の募集に向けて家賃を見直しました。
判断材料にしたのは、同じマンションや近隣の賃貸物件の相場です。
結果として、現在は家賃45,000円、共益費2,000円の合計47,000円で入居していただいています。
以前と比べると月額8,000円、年間では96,000円の増加です。
もちろん、これは入居者が入れ替わった際に募集条件を見直した結果であり、世の中の家賃が上がったから自動的に収入が増えたわけではありません。
現在42,000円の物件にも家賃見直しの余地を感じている
別の所有物件では、現在の月額賃料等は42,000円です。
この物件は駅から非常に近く、専有面積も約25㎡あります。
最近確認した賃貸募集情報では、52,000円の募集事例が2件ありました。
現在の家賃との差は10,000円です。
この情報を見ると、今後入居者の入れ替わりがあった際には、家賃を見直せる余地があるのではないかと考えています。
ただし、募集価格と実際の成約価格は同じではありません。
設備や室内の状態、募集時期などの条件も影響します。
そのため、52,000円で必ず入居者が決まると考えているわけではありません。
重要なのは、今の家賃が適正なのかを、実際の市場情報を使って継続的に判断することだと思います。
※所有物件を特定できるマンション名や詳しい所在地は掲載していません。
家賃が上がる時代だからこそ、入居者の立場も考えたい
私は大家として、家賃収入が増えることは歓迎しています。
しかし、入居者の立場になれば、家賃は毎月必ず支払わなければならない生活費です。
同じ家賃でも、「この立地と設備なら納得できる」と感じる人もいれば、「少し高い」と感じる人もいるでしょう。
家賃を高く設定しすぎれば、入居希望者が集まりにくくなる可能性があります。
逆に、必要以上に安く設定すれば、大家側が十分な収益を確保できなくなるかもしれません。
そこで大切になるのが、立地や広さ、設備、建物の管理状態などと家賃のバランスだと考えています。
例えば駅に近く、生活に便利な場所にある物件には、その立地を評価して家賃を支払う人がいます。
一方、設備が古く、競合物件より条件が劣る場合には、家賃を抑える必要があるかもしれません。
大家にとって必要な家賃と、入居者が納得できる家賃は、必ずしも一致しません。
だからこそ、双方のバランスを考えた家賃設定が重要だと思っています。
具体的な家賃の見直し時期や、退去時の募集条件については、別の記事で実体験を紹介しています。
家賃はいつ上げる?退去時に見直している理由|現役大家の家賃設定
家賃上昇は今後も続くのか?現役大家としての考え
今後も家賃が上がり続けるかどうかを、正確に予測することはできません。
建築費の上昇や賃貸需要の強さが続けば、家賃が上がりやすい地域はあると思います。
一方、人口動態や新築供給、入居者の負担能力によっては、家賃が上がらない地域や物件もあるでしょう。
私は複数の中古区分マンションを運営していますが、すべての物件で一律に家賃を上げようとは考えていません。
実際の周辺相場を確認し、その物件の立地や設備に見合った家賃を考えることが基本です。
また、家賃上昇を前提にして高い価格で不動産を購入することにも慎重でありたいと思っています。
将来の家賃アップは、あくまで実現するかどうか分からない可能性の一つです。
購入時点の家賃と維持費でも無理のない収支が見込めるかを確認し、その後に家賃を改善できれば、投資の収益性が高まるという考え方が私には合っています。
まとめ|家賃上昇は大家にとって良いことばかりではない
2026年の賃貸市場では、地域や物件タイプによって家賃上昇の動きが確認されています。
建築費の上昇や住宅需要の変化は、今後の賃料を考えるうえでも重要な要素です。
私自身も、兼業大家として中古区分マンションを運営する中で、実際に家賃を引き上げた経験があります。
また、別の所有物件では周辺の募集情報から、今後の家賃見直しの可能性も感じています。
一方で、管理費や修繕費などの上昇によって大家のキャッシュフローが圧迫されることもあれば、家賃の上昇が入居者の生活に影響することもあります。
だから私は、家賃を高くすること自体を目的にはしていません。
立地や設備に見合った家賃を設定し、入居者に納得して長く住んでもらいながら、大家としても安定した収益を確保する。
家賃上昇が話題になる今だからこそ、このバランスを大切にしたいと考えています。
参考資料
- 賃貸管理会社発行の月刊通信「2026年10月号」
- エイブル総合研究所「成約家賃インデックス 全国版(2026年9月)」
- 長谷工ライブネット「中核都市賃貸マンション賃料相場マップ 2026年度版」
- 野村不動産ソリューションズ「福岡オフィス市場および賃貸マンション市場の現況と展望(2026年)」
※本記事は2026年10月時点の公開調査と筆者の賃貸経営経験に基づく考察です。個別の物件で家賃上昇や将来の収益が保証されるものではありません。