不動産投資では、毎月家賃が入っていても、エアコンや給湯器などの設備交換、退去後の修繕、マンション全体の工事に伴う臨時徴収など、まとまった支出が発生することがあります。
例えば「修繕費30万円」と聞くと、30万円という金額そのものに目が行きます。
しかし、大家として実際に考えたいのは、「その30万円は、この物件の家賃や手残りの何か月分なのか?」ということではないでしょうか。
私自身、区分マンションを複数所有していますが、修繕費を見るときは単純な金額だけではなく、その物件が生み出す収益に対してどの程度の負担になるのかを考えるようにしています。
そこで作成したのが、この「修繕費ダメージシミュレーター」です。
購入金額・家賃・管理費・修繕積立金・今回発生する修繕費を入力すると、
- 通常時の月間・年間手残り
- 修繕発生年の月間・年間手残り
- 修繕費が家賃何か月分に相当するか
- 修繕費が手残りキャッシュフロー何か月分に相当するか
- 通常時と修繕発生年の利回りの変化
を確認できます。
管理委託費については、私が実際に利用している契約条件に合わせ、家賃+共益費の合計に対して5%+消費税(税込5.5%)として自動計算します。
修繕費を単に「10万円」「30万円」「50万円」と見るのではなく、その物件の収益力に対してどのくらいのダメージになるのかを考えるための一つの目安として使ってみてください。
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不動産投資の修繕費ダメージシミュレーター
次の5項目を入力してください。
- 購入金額
- 月額管理費
- 月額修繕積立金
- 月額家賃(共益費を含めた合計)
- 今回の修繕費
管理費・修繕積立金の負担がない場合は「0」を入力してください。
その修繕費、家賃何か月分?
修繕費が年間キャッシュフローと利回りに与えるダメージを確認。
管理費・積立金・委託費控除後
修繕費が発生しない年の概算
修繕発生年の年間手残り ÷ 12(月平均)
通常年からどれだけ減るかを表示します。
修繕費 ÷ 月額家賃
修繕費 ÷ 通常の月間手残り
年間手残り ÷ 購入金額
(年間手残り−修繕費)÷購入金額
5項目を入力すると、自動で計算します。
修繕費による年間手残りの変化
修繕なし・10万円・30万円・50万円・入力額グラフは、その年に一度だけ修繕費が発生したものとして年間手残りを比較しています。
月額管理費・月額修繕積立金・業務委託費 (家賃と共益費の合計×5.5%)・入力した修繕費。
この試算に含まないもの火災保険・固定資産税・都市計画税・購入諸費用・所得税等・ 空室損・ローン返済・ローン関連費用・売却費用等。
満室が続き、家賃・管理費・積立金・委託料率が変わらない条件での概算です。 実際の収支を保証するものではありません。
計算式を確認する
業務委託費=月額家賃(共益費込み)×5.5%。
通常の月間手残り=月額家賃−管理費−修繕積立金−業務委託費。
通常の年間手残り=通常の月間手残り×12。
修繕発生年の年間手残り=通常の年間手残り−今回の修繕費。
修繕発生年の月間手残りは、修繕発生年の年間手残りを12で割った月平均額です。
家賃換算月数=修繕費÷月額家賃。 手残りCF換算月数=修繕費÷通常の月間手残り。
通常時の指定経費控除後利回り=通常の年間手残り÷購入金額×100。 修繕発生年の利回り=修繕発生年の年間手残り÷購入金額×100。
このシミュレーターで確認できること
修繕費が「家賃何か月分」なのか
まず表示するのが、修繕費 ÷ 月額家賃です。
例えば家賃5万円の物件で30万円の修繕費が発生すれば、30万円 ÷ 5万円 = 家賃6か月分となります。
30万円という金額だけを見るよりも、「半年分の家賃に相当する」と考えた方が、その修繕が賃貸経営に与える影響をイメージしやすくなります。
修繕費が「手残り何か月分」なのか
ただし、家賃の全額が大家の利益になるわけではありません。
区分マンションであれば、家賃収入から、
- 管理費
- 修繕積立金
- 管理委託費
などが差し引かれます。
そのため、このシミュレーターでは、修繕費 ÷ 通常時の月間手残りも計算します。
例えば月額家賃が5万円でも、各種経費を差し引いた手残りが3万円なら、30万円の修繕費は、30万円 ÷ 3万円 = 手残り約10か月分です。
私は、こちらの数字の方が大家としての実感に近いと考えています。
「家賃6か月分」でも、実際には「手残り10か月分が飛ぶ」と考えると、修繕費に対する見え方も変わってきます。
修繕が発生した年の手残りも確認する
このシミュレーターでは、通常時の年間手残りだけでなく、通常の年間手残り − 今回の修繕費によって、修繕が発生した年の年間手残りも表示します。
さらに、その年間手残りを12で割り、修繕発生年を月平均で見た場合の手残りも表示します。
これは「修繕した月の収支」を意味するものではありません。
あくまで、年間で発生した修繕費を12か月に均した場合、月平均の収益力がどの程度まで下がるのかを見るための数字です。
10万円・30万円・50万円の修繕でどう変わるか比較する
修繕費は毎回同じではありません。
比較的小さな修理で済む場合もあれば、設備交換などによって数十万円の支出になることもあります。
そこでシミュレーターでは、修繕なし・10万円・30万円・50万円・自分で入力した修繕費について、年間手残りがどう変化するかをグラフで比較できるようにしています。
同じ30万円の修繕でも、年間手残りが60万円ある物件と30万円しかない物件では、受けるダメージはまったく違います。
つまり、修繕リスクを考えるときには、修繕費そのものだけではなく、その物件の収益力との関係を見ることが重要だと考えています。
私が実際に経験した約10万円の臨時徴収
私が所有している区分マンションでは、通常の修繕積立金とは別に、所有面積に応じて約10万円の臨時徴収が発生したことがあります。
主な理由は、マンション共用部分の天井からの雨漏りに関連した工事でした。
当然、大家としては予定していなかった支出です。
ただ、その工事が完了してから、他の部屋についても客付けがうまくいき始めたと聞きました。
この経験から感じたのは、修繕費は単純に「出ていくお金」とだけ考えるものでもないということです。
建物全体の状態が悪ければ、入居希望者から見た印象にも影響します。
必要な修繕が行われ、マンション全体の管理状態が改善されれば、長期的には賃貸経営にもプラスに働く可能性があります。
そのため私は、修繕費について、「いくら払うのか」だけでなく、「何のための修繕なのか」を見ることも大切だと考えています。
修繕積立金を払っていても突発的な支出はあり得る
区分マンションでは毎月、修繕積立金を支払っている物件も多いと思います。
しかし、「毎月修繕積立金を払っているから、それ以外の修繕費は発生しない」とは限りません。
建物全体の大規模な工事だけではなく、所有している部屋では、
- エアコン
- 給湯器
- 水回り設備
- 換気設備
- 電気設備
- 退去後の原状回復
などの費用が発生する可能性があります。
また、マンション全体の修繕についても、積立金だけでは不足すれば、臨時徴収が検討される可能性があります。
だからこそ、物件を購入するときには表面利回りだけではなく、ある程度の修繕が発生しても運営を続けられるかという視点も必要だと思います。
利回りが高ければ修繕に強いとは限らない
表面利回りが高い物件を見ると、収益性が高いように感じます。
しかし、修繕費との関係を見る場合は、表面利回りだけでは判断できません。
家賃から管理費・修繕積立金・管理委託費を差し引いて、実際にどのくらい残るのか。
そして、その手残りに対して10万円、30万円、50万円の修繕がどの程度の負担になるのか。
ここまで見ることで、物件の収益構造がより分かりやすくなります。
既存の「利回り・資金回収シミュレーター」でも、表面利回りだけではなく管理費・修繕積立金等を差し引いた手残りを見る設計にしています。 貼り付けたテキスト(1)
今回のシミュレーターは、その考え方をさらに一歩進めて、「突発的な支出が発生したらどうなるのか」を見るためのものです。
修繕費を想定して物件を比較してみる
このシミュレーターは、実際に修繕が発生したあとだけでなく、物件購入前の確認にも使えます。
例えば購入を検討している物件について、「もし購入後に10万円の修繕が発生したら?」「給湯器などの交換で30万円かかったら?」「50万円の支出が発生しても年間収支はプラスなのか?」と、修繕費の数字を変えて試してみてください。
表面利回りでは似たように見える2つの物件でも、管理費や修繕積立金が違えば、突発的な修繕に対する耐久力も変わります。
良い条件だけで計算するのではなく、悪い条件を入れても成立するかを見る。
私は、物件を検討するときにはこうした見方も大切だと考えています。
このシミュレーターに含まれていない費用
今回のシミュレーターは、修繕費による影響を分かりやすくするため、入力項目を絞っています。
そのため、火災保険、固定資産税、都市計画税、購入諸費用、所得税等、空室による家賃減少、ローン返済などは計算に含めていません。
また、将来発生する修繕費を予測するものでもありません。
「○万円の修繕が発生した場合、現在の収益力に対してどの程度の負担になるか」
を確認するための簡易シミュレーターとして使ってください。
まとめ|修繕費は金額だけでなく「何か月分の利益か」で考える
不動産投資をしている以上、修繕費を完全になくすことは難しいと思います。
重要なのは、修繕が発生しないことを前提にするのではなく、発生したときにどの程度の影響があるのかを事前に把握しておくことです。
30万円という修繕費も、「家賃6か月分」「実際の手残り10か月分」では意味が違います。
さらに、その修繕によって年間収支が赤字になるのか、それとも十分な利益を残せるのかによっても物件の見方は変わります。
私は、表面利回りだけではなく、「毎月いくら残るのか」「その利益の何か月分までなら修繕に耐えられるのか」という視点も持ちながら賃貸運営を考えています。
このシミュレーターが、物件購入前の検討や、所有物件の修繕リスクを考える一つの材料になればと思います。