不動産投資の物件情報を見ると、「表面利回り8%」「想定利回り10%」などの数字が大きく掲載されています。
では、表面利回りが高ければ、それだけ収益性の高い物件なのでしょうか。
私は兼業大家として中古区分マンションを購入し、現在5室を所有しています。
物件を探すとき、表面利回りはもちろん確認します。私の場合、6%以上を一つの目安にしています。
ただし、表面利回りが6%を超えているから買うわけではありません。
実際の賃貸経営では、家賃がそのまま手元に残るわけではないからです。
管理費、修繕積立金、管理委託費などを差し引き、「結局、この物件から毎月いくら手元に残るのか」まで確認します。
さらに、数字上の利回りが良くても、設備やマンション全体の管理状態によっては購入を見送ることもあります。
この記事では、表面利回りと実質利回りの違いと、実際に中古区分マンションを所有する私が利回りを見るときに考えていることを紹介します。
この記事でわかること
- 表面利回りと実質利回りの違い
- それぞれの基本的な計算方法
- 表面利回りだけでは分からない支出
- 私が表面利回り6%以上を一つの目安にしている理由
- 利回り以上に「毎月の手残り」を重視する理由
- 数字が良くても購入を見送る物件
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表面利回りとは?
表面利回りとは、物件価格に対して年間の家賃収入がどのくらいあるのかを示す数字です。
基本的な計算式は、年間家賃収入 ÷ 物件価格 × 100です。
例えば500万円の中古区分マンションを、月額4万円で賃貸しているとします。
年間家賃収入は、4万円 × 12か月=48万円です。
したがって表面利回りは、48万円 ÷ 500万円 × 100=9.6%となります。
物件情報に「利回り9.6%」と掲載されていれば、まず目に入るのはこの数字でしょう。
私自身も物件を探すとき、表面利回りを物件同士を比較するための一つの目安として使っています。
ただし、ここで注意したいことがあります。
年間48万円が、そのまま自分の利益になるわけではありません。
表面利回りには管理費や修繕積立金などが含まれていない
区分マンションを所有すると、家賃収入が入ってくる一方で、さまざまな支出が発生します。
代表的なのが、
- 管理費
- 修繕積立金
- 賃貸管理会社への管理委託費
などです。
さらに実際の賃貸経営では、固定資産税や保険料、設備故障、原状回復、空室なども考える必要があります。
つまり、表面利回り=実際に自分の手元に残る割合ではありません。
そこで私が表面利回りと一緒に確認しているのが、これらの支出を考慮した収益性です。
実質利回りとは?
実質利回りは、家賃収入から物件の運営に必要な経費を差し引いて計算する利回りです。
一般的には、(年間家賃収入-年間経費)÷ 物件取得にかかった金額 × 100といった考え方で計算します。
ただし、実質利回りには完全に統一された計算方法があるわけではありません。
管理費・修繕積立金だけを経費に含めるケースもあれば、固定資産税や保険料などを含める場合もあります。
また、分母についても物件価格だけで計算する場合と、購入時の諸費用まで含める場合があります。
そのため、「この物件は実質利回り○%です」という数字を見るときは、何を収入・経費・取得費として計算しているのかまで確認することが大切です。
この記事では分かりやすくするため、私が毎月の収支を見るときに差し引いている、管理費+修繕積立金+管理委託費を使って考えてみます。
表面利回り9.6%でも、実際の手残りは変わる
先ほどの500万円、家賃4万円の物件で考えてみます。
仮に毎月、管理費 5,000円、修繕積立金 5,000円、管理委託費 2,200円が発生する場合、毎月の支出は、12,200円です。
家賃4万円から差し引くと、40,000円-12,200円=27,800円となります。
年間では、27,800円 × 12か月=333,600円です。
物件価格500万円に対する割合を単純計算すると、333,600円 ÷ 5,000,000円 × 100=約6.67%となります。
表面利回りは9.6%でした。
しかし、管理費・修繕積立金・管理委託費を差し引くと、手残りベースでは約6.67%です。
9.6%と6.67%。
同じ物件でも、何を差し引くかによって見える数字はかなり変わります。
しかも、これで終わりではありません。
固定資産税や保険料、突発的な修繕、空室期間などを考慮すれば、実際の収支はさらに変動します。
だから私は、物件情報に掲載されている表面利回りだけで購入判断をしないようにしています。
同じ表面利回りでも「手残り」が同じとは限らない
ここは中古区分マンションを見るときに重要だと思っています。
例えば、同じ500万円で年間家賃収入も同じ48万円。
つまり、どちらも表面利回り9.6%の物件があったとします。
しかし、
A物件
管理費・修繕積立金・管理委託費
→ 月12,000円
B物件
管理費・修繕積立金・管理委託費
→ 月20,000円
だったらどうでしょう。
表面利回りは同じでも、毎月8,000円の差があります。
年間なら、
8,000円 × 12か月=96,000円
です。
10年間単純に続けば96万円の差になります。
もちろん実際には管理費や修繕積立金の変更、空室、家賃変動、修繕などがあるため、この金額がそのまま確定するわけではありません。
それでも、物件価格と家賃だけでは見えない差があることは分かります。
私はここを見るために、表面利回りだけではなく毎月の手残りを確認しています。
私は表面利回り6%以上を一つの目安にしている
私自身が中古区分マンションを探すときは、表面利回り6%以上を一つの目安にしています。
ただし、「6%以上=買う」ではありません。
あくまで最初に物件を見るための目安です。
価格、家賃、管理費、修繕積立金、立地、築年数、賃貸需要などを確認し、そのうえで総合的に判断します。
表面利回りが高くても、毎月の固定支出が大きければ手残りは少なくなります。
反対に、数字だけでは見えないリスクを抱えている物件もあります。
そのため私にとって表面利回りは、購入を決める数字というより、物件を検討する入口の数字に近いです。
私が利回り以上に「毎月いくら手元に残るか」を重視する理由
私は利回り○%という数字以上に、「この物件を所有すると、毎月いくら手元に残るのか」を重視しています。
理由は単純で、こちらの方が自分の生活に置き換えて考えやすいからです。
例えば、1室の中古区分マンションから年間25万円~30万円程度の手残りが得られるとします。
給与と家賃収入では、安定性も税務上の扱いも異なるので、単純に同じものとして比較することはできません。
それでも私は、「この1室が、年間で会社員の月の手取り1か月分程度を生み出してくれる」
と考えると、利回り○%という数字よりも、その物件を所有する意味を実感しやすいと感じています。
1室なら1か月分。
同じように手残りを生む物件を2室、3室と積み重ねていけば、本業以外から得られる収入も少しずつ増えていきます。
私は、不動産だけで一気に大きな利益を得ることよりも、本業を続けながらこうした収入を積み上げていく方法を選んでいます。
このサイトで掲げている、「働きながら、無理なく資産を築く。」という考え方にもつながっています。
実質利回りが良くても買わない物件はある
では、実質利回りまで計算して数字が良ければ購入するのか。
私はそうは考えていません。
数字には表れにくいリスクもあるからです。
私が特に意識しているのが、「自分の区分のリスク」と「マンション全体のリスク」を分けて考えることです。
自分の区分のリスク|古い電気温水器など
例えば、私が現在かなり気にしているのが給湯設備です。
特に古い電気温水器が設置されている物件は慎重に考えます。
購入時点では問題なく動いていても、所有後に故障すれば交換費用が発生します。
物件の家賃や手残りによっては、設備交換だけで長期間積み上げたキャッシュフローの一部を使う可能性もあります。
表面利回りにも実質利回りにも、将来発生する設備交換費用が最初から正確に反映されているわけではありません。
だからこそ、現在の数字だけではなく、購入後にどのような支出が発生する可能性があるかまで考える必要があります。
マンション全体のリスク|管理組合に十分な資金があるか
もう一つ、私が重要だと思っているのがマンション全体の状態です。
区分マンションは、自分が所有している部屋だけで完結する不動産ではありません。
共用部分や建物全体の維持管理には、管理組合の運営や修繕積立金が関係します。
そのため私は、
- 修繕積立金の積立状況
- 滞納状況
- 大規模修繕の履歴
- 長期修繕計画
- 管理費・修繕積立金の値上げ予定
なども、可能な範囲で仲介会社などを通じて確認します。
自分の所有する部屋なら、自分のお金を使って設備を交換したり、内装を整えたりできます。
しかし、マンション全体の管理状態や資金状況は、一人の区分所有者だけでは解決できません。
仮に自分の部屋を丁寧に手入れして良い状態にしても、マンション全体の維持管理に大きな問題があれば、その努力だけでは補えない可能性があります。
私は、古い電気温水器などは「自分の区分のリスク」、管理組合の資金状況などは「マンション全体のリスク」と分けて考えるようにしています。
後者については、自分一人ではコントロールしにくいからこそ、購入前の確認を特に重視しています。
利回りを見るときは「表面→実質→物件全体」の順で考える
ここまでを整理すると、私は中古区分マンションを見るとき、大きく3段階で考えています。
1.表面利回りを見る
まず物件価格と家賃から、検討対象になるかを見る。
↓
2.実際の手残りを見る
管理費、修繕積立金、管理委託費などを差し引いて、毎月いくら残るのかを見る。
↓
3.数字に出にくいリスクを見る
給湯設備、建物の管理状態、管理組合の資金状況、賃貸需要などを確認する。
私はこの3つを見て、最終的に購入するかどうかを判断しています。
中古区分マンションを買う前に私が確認している項目については、こちらの記事で詳しくまとめています。
👉 中古区分マンションを買う前に確認すること|5室所有の大家が見るチェックポイント
表面利回りが高い物件ほど良いとは限らない
不動産投資を始めたばかりのころは、「利回りが高い=儲かる物件」と考えてしまいやすいと思います。
しかし、高い利回りには理由がある場合もあります。
物件価格が安い、家賃が高いという良い理由だけではなく、築年数、立地、賃貸需要、設備、建物管理など、何らかのリスクが価格に反映されている可能性もあります。
逆に、利回りが低いから悪い物件とも限りません。
大切なのは、「なぜ、この物件はこの利回りなのか」を考えることだと思っています。
利回りは答えではなく、物件を見るための一つの材料です。
気になる物件は実際に数字を入れて比較する
表面利回りと実質的な手残りの違いは、実際に数字を入れてみると分かりやすくなります。
例えば、家賃が3,000円下がったら?修繕積立金が5,000円上がったら?購入価格が50万円安くなったら?ローンを利用したら毎月いくら残る?
と条件を変えてみると、その物件の収益性がどの程度変化するのか見えてきます。
当サイトでは、物件価格、家賃、管理費、修繕積立金などを入力して、利回りや手残り、資金回収の目安を確認できるシミュレーターを用意しています。
購入を検討している物件がある方は、実際の数字を入れて比較してみてください。
表面利回りは入口、最後に見るのは自分に残るお金
表面利回りは、不動産投資の物件を比較するうえで便利な数字です。
私自身も、表面利回り6%以上を一つの目安として物件を見ています。
しかし、それだけで購入を決めることはありません。
表面利回りは「物件を見つけるための数字」。
実質利回りは「実際の収益性を確認するための数字」。
そして私にとって、毎月の手残りは「その物件を所有する意味を自分の生活に置き換えるための数字」です。
さらに、その数字が良くても、設備やマンション全体に大きなリスクがあれば購入しないこともあります。
利回り○%という一つの数字だけを見るのではなく、
「毎月いくら残るのか」
「その収入は継続できそうか」
「将来どのような支出が考えられるか」
まで確認する。
それが、現在5室を所有する私が中古区分マンションを見るときに大切にしている考え方です。
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